足場の設置に関して遵守すべき法律のひとつに「建築基準法」があります。建築基準法は、建築物の安全性や住環境の保護、そして作業現場における労働者の安全を確保するために設けられた法規で、足場の設置時にはこれをしっかりと理解し、守ることが必要です。

特に、足場は作業現場で最も重要な設備の一つであり、作業員の命を守る役割を果たします。そのため、法的な基準や安全面に関する遵守事項は、足場設置の際に非常に重要です。本記事では、足場設置に関連する建築基準法の目的と、その中で作業者が具体的に注意すべき点について詳細に説明します。

建築基準法の概要と足場の関係

建築基準法の概要と足場の関係建築基準法は、1950年に制定され、日本国内の建築物に関する安全基準を規定しています。この法律の大きな目的は大きく分けて3つで、建築物の安全性確保環境との調和住環境の保護です。これらの目的を達成するために、建築基準法では建物の構造や設置、さらには関連する工事に関わる安全基準が定められています。足場は、工事現場で作業を行う際の重要な設備であり、工事を進める上で欠かせない存在です。特に高所での作業が必要となる場合には、足場が安全に設置されていないと、労働者の事故リスクが大幅に高まります。

足場設置における建築基準法の目的

足場の設置は、建築物の一部とは異なりますが、工事の一環として安全性が非常に重要視されます。建築基準法における足場設置の目的は、作業員の安全性の確保周囲への安全確保にあります。足場が不安定であったり、適切に設置されていなければ、作業員が転落する危険性や、近隣住民や通行人が事故に巻き込まれるリスクが増加します。

足場設置に関連する具体的な規定

建築基準法の中で、足場設置に関連する規定は主に次のポイントに分類できます

高所作業に関する規定

高所で作業を行う場合、建築基準法および労働基準法によって、適切な足場が必須とされています。建物の外部での作業は非常に危険であり、特に高層ビルや高い壁の工事では、足場の構造や強度が厳格に規制されています。

具体的な規定

足場の強度作業員や機材の重量に耐えられる強度と作業中の衝撃を加味した想定
手すりや落下防止策転落リスクを最小限に抑える為に、手すりや安全ネット等の設置義務

高所作業に関する規定

足場の幅や高さについても、労働安全衛生法などの規定と共に建築基準法によって定められています。狭すぎる足場や不安定な高さの足場は、作業員がバランスを崩す原因となり得るため、一定の基準が設けられています。

具体的な規定

足場の幅安全に作業できるよう、作業スペースが確保される最低限の幅が必要
足場の高さ高層建築の場合には、風圧なども考慮した設計が必要

足場の設置場所に関する基準

足場を設置する場所についても、周囲の環境や建物との距離に応じた規定が存在します。特に以下の点に注意が必要です

具体的な規定

近隣建物との距離足場が近隣建物に干渉したり、落下物による事故発生がないよう選ぶことが重要
地盤の状態足場設置の地盤が不安定な場合、傾いたり崩れたりするリスクがあるため、地盤強度の事前確認が大切

足場設置の際に注意すべき具体的なポイント

足場設置において法令遵守を徹底するためには、以下の点に特に注意が必要です。

足場の計画段階での確認

足場を設置する前に、まずは計画段階で法令遵守のチェックが不可欠です。計画段階では、以下のような事項を確認することが求められます。

使用する足場の種類の確認

使用する足場の種類の確認足場には、枠組足場、単管足場、吊り足場、移動式足場など様々な種類があり、工事の規模や現場の特性に応じて選定されます。例えば、高層建築では枠組足場吊り足場が主に使用され、狭い場所や作業スペースが限られている場所では単管足場が適しています。足場の選定には、現場の状況だけでなく、作業の内容や使用する機材、作業人数も考慮しなければなりません。また、足場の設置は建築基準法労働安全衛生法に準拠しているか確認することが必須です。法令違反がある場合、罰則や工事の中止といった重大な影響が生じるため、適切な種類の足場を使用することは最も重要な工程の一つです。

安全装置の確認

安全装置の確認足場には、作業員の安全を確保するための各種安全装置が設置されている必要があります。代表的な装置には、手すり落下防止ネット、そして養生シートなどがあります。これらの装置は、作業中の転落や落下物による事故を防ぐために重要です。特に高所作業では手すりの設置が法律で義務付けられており、設置が不完全な場合は重大な事故につながる恐れがあります。また、落下防止ネット養生シートは、作業員だけでなく、現場周囲にいる一般人や建物への被害を防ぐためにも不可欠です。これらの安全装置が確実に設置されているか、事前に入念な確認が求められます。。

風圧などの環境条件の考慮

風圧などの環境条件の考慮足場の設計および設置において、環境条件を無視することはできません。特に高層建築や沿岸部、山間部などの風の強い地域では、風圧地形の影響を考慮することが必須です。強風が吹くことで足場の安定性が失われ、倒壊や転倒のリスクが増大します。このため、風速の強さに応じて足場の支柱固定方法を強化したり、仮囲い風防シートなどの対策を講じる必要があります。また、気象条件に応じて作業を中断するなどの柔軟な対応も求められます。加えて、降雨の影響も考慮しなければならず、足場の滑り止め処理や排水設備の設置などの安全対策も行わなければなりません。

足場設置前の具体的な確認事項

足場設置前に確認すべきポイントは多数存在しますが、特に次の要点について十分な注意を払う必要があります。これにより、安全性が確保されるとともに、効率的でスムーズな工事が可能となります。

設置作業員の安全確保と法令遵守

高所での作業に従事する労働者にとって、安全帯(フルハーネス型安全帯)の着用は義務化されており、これにより、設置作業中の転落事故を未然に防ぐことが可能です。特に、作業員が足場を設置する際、または足場を使用する際には、万が一の事故を防ぐために安全装置の着用安全管理体制の徹底が求められます。また、現場での安全教育を徹底し、作業員が安全帯を正しく使用できるよう、使用方法や装着手順の研修を実施することが不可欠です。安全帯の着用だけでなく、安全通路の確保適切な足場の組立手順も重要です。

安全確認と定期点検

足場が安全に使用され続けるためには、設置後の定期的な点検が不可欠です。足場が設置された後も、使用中に構造の強度や安定性が損なわれることがないように、定期的に点検を行い、必要に応じて補修や補強を行うことが求められます。特に、強風や大雨、地震などの自然災害の後は、足場に異常がないかを入念に確認する必要があります。これらの点検を怠ると、足場が劣化し、事故や倒壊のリスクが増大する恐れがあります。点検では、支柱の強度接続部分の緩み部材の劣化など、足場全体の構造的な安定性を確認します。具体的には、錆びやひび割れ、ねじの緩み、パイプの曲がりなど、目視で確認できる不具合をチェックし、不良箇所が見つかった場合は速やかに交換や修理を行います。特に、金属製の足場は、腐食や錆びによる劣化が進行しやすく、定期的に防錆処理を行うことで長期間にわたり安全性を維持することができます。

使用中の足場の管理

足場が設置された後、作業が進む中で足場を安全に使用するためには、以下の管理が不可欠です。

適切な作業ルールの徹底

足場上での作業において、作業員全員に対して適切な作業ルールを徹底することが、安全を守るうえで不可欠です。特に高所作業では、ちょっとした不注意が重大な事故に繋がることがあり、そのため細心の注意を払った行動が強く求められます。具体的には、足場上での不要な物の置き忘れ急な移動を避け、確実に三点支持(手と足の3か所を常に支える動作)を行いながら移動することが重要です。

風圧などの環境条件の考慮

足場の適切な荷重管理も、作業中の安全性を保つための重要なポイントです。足場は特定の許容荷重に基づいて設計されており、この荷重を超えると足場が崩れる危険性があります。そのため、作業中に使用する重機や資材を一度に足場上に置く際には、その重量が許容範囲内であることを常に確認する必要があります。特に、大型の機材や重い建材を一時的に足場に置く場合、設置する足場部分がしっかりと補強されているか、必要に応じて荷重を分散させるための工夫がなされているかを確認することが重要です。

不安定な足場の使用禁止と補強対応

足場が設置された後、定期的な点検を行い、不安定な部分や破損箇所がないかを確認することが必要です。点検時に足場の一部が不安定だと感じた場合、または部材に異常が見られた場合は、直ちに使用を中止し、補強作業や修理を行う必要があります。例えば、足場の支柱が曲がっているジョイント部分が緩んでいる腐食や錆が見つかるなどの異常が確認された場合、すぐにその箇所の使用を止め、必要な修繕を施すべきです。さらに、足場が不安定な場合は作業員全員に迅速に通知し、作業を中断するための体制を整えておくことが求められます。

罰則とペナルティ

足場の設置において、建築基準法や労働安全衛生法に違反した場合、企業や個人に対して罰則やペナルティが科されます。これらの罰則は、安全を軽視したことによる事故防止を目的としており、法令違反が事故に直結するケースが多いため、厳格に適用されます。

法令違反による罰則

足場設置に関連する法令違反には、次のような罰則が科される場合があります。

罰金作業員や第三者に危害を加えるような状況を生じさせた場合、罰金が科されることがある
業務停止命令法令違反が度重なった場合や、重大な事故が発生した場合には、事業者に対して業務停止命令が下されることがある

レンタル主力商品

足場を用いる様々な現場で、とても重要視される法面・斜面への階段や足場。これら足場機材のレンタルなら私たち日工セックにお任せください。階段や足場のレンタルをはじめ、仮設機材のレンタルの総合メーカーとして、全力で皆様の現場をサポートをさせて頂きます。

主力のレンタル足場商品その1 ラク2タラップ

ラク2タラップ

アルミで軽く、簡単・迅速・安全を追求した、法面・斜面の強い味方である傾斜自在階段です。仮設通路・足場レンタルのご要望は日工セックにお任せ!

主力のレンタル足場商品その2 斜面ノリダー

斜面ノリダー

安全・安心・効率アップの傾斜面安全ステージです。昇降の安全対策に法面・斜面の強い味方です。仮設通路・足場レンタルのご要望は日工セックにお任せ!

主力のレンタル足場商品その3 ラクラク台

ラクラク台

らくらく設置。抜群な安定性で安全施工を確保するアルミ製移動式室内足場。仮設通路・足場レンタルのご要望は日工セックにお任せ!

主力のレンタル足場商品その4 プラント機材シリーズ

プラント機材シリーズ

プラント仮設の安全機材、日工セックの「プラント機材シリーズ」。仮設通路・足場レンタルのご要望は日工セックにお任せ!

主力のレンタル足場商品その5 ウルトラセイフティー

ウルトラセイフティー

組立解体に安全な手すり先行専用足場。作業に先立つ安全性を確保します。仮設通路・足場レンタルのご要望は日工セックにお任せ!

主力のレンタル足場商品その6 ライトブリッジ

ライトブリッジ

地中梁用通路・仮設通路。少人数・短時間でつくる安全通路の決定版!仮設通路・足場レンタルのご要望は日工セックにお任せ!

よく読まれている記事

足場のレンタルメリット

足場のレンタルメリット

建築現場や外壁塗装、防水工事等で、足場の存在はなくてはならない必須アイテムです。工事の規模や場所によって用意する足場は変わります。

足場でのヒヤリハット事例

足場でのヒヤリハット事例

実際にあった足場ヒヤリハット事例をご紹介します。 作業者に足場の点検・事前準備などで参考にしていただけたらと思います。

労働安全衛生法

労働安全衛生法

常設の津波避難用階段です。従来の通路設置作業に対して高い安全性と大幅な作業効率を実現した、アルミ合金製傾斜自在階段です。

日工セックについて

避難通路(本設階段)

日工防災 nikko 防災教室 ニッコージャーが教える!備えて安心 知って安心 防災教室

足場・階段・仮設機材のレンタルはおまかせください!

足場・階段・仮設機材のレンタルはおまかせください

私たち日工セックは、お客様との深い関わりの中から汲み取った、斜面や法面などの現場ニーズを元にし、独自のノウハウと経験を活かした安全で便利な仮設機材の設計開発・製造・レンタルを行って状況に応じた柔軟な足場設計から安全管理まで、建築現場をトータルでサポートいたします。

関連法人のご紹介

日工グループ 日工株式会社
トンボ工業
日工電子工業株式会社
日工興産株式会社
日工マシナリー株式会社
株式会社前川工業所
日工工程機械有限公司
NIKKO ASIA (THAILAND) CO., LTD.
宇部興機株式会社
NIKKO NILKHOSOL CO., LTD.
株式会社 松田機工