足場のレンタルや使用において、労働安全衛生法は作業者の安全を守るために重要な役割を果たしています。この記事では、足場を使用する際に遵守すべき法律や規則について詳しく解説します。特に、足場の設置・解体・使用に関する労働安全衛生法の具体的な条項や規定を理解することは、事故を防止し、安全な作業環境を確保するために欠かせません。
足場の法律:労働安全衛生法第21条
第21条(事業者の責務)
事業者は、その事業において労働者を使用する場合において、労働者が安全かつ健康に作業を行うことができるよう、その事業の種類に応じ、労働者の労働条件を確保し、改善するために必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法第21条の解説
労働安全衛生法第21条は、事業者に対して労働者の安全と健康を確保するための包括的な責任を負わせる条項です。この条文は、事業者が労働者に対して安全な作業環境を提供し、健康に配慮した労働条件を確保するための必要な措置を講じる義務があることを明確にしています。具体的には、事業者は以下のような義務を負っています。
安全対策の実施 | 労働者が安全に作業できるよう適切な安全対策の実施 |
---|---|
健康管理の徹底 | 労働者の健康維持のために健康診断や労働環境の改善 |
教育訓練の提供 | 労働者に作業関連の危険性と対策についての教育訓練 |
労働安全衛生法第21条の具体的な対策
① 安全な安全な足場の設置と点検
□ 足場を設置する際は、安定性や強度を確認し、法律で定められた基準に従って設置する。
□ 足場の使用前には、点検を行い、異常がないか確認する。
② 作業指揮者の選任
□ 足場の設置、解体、変更作業には、必ず作業指揮者を選任し、指揮の下で作業を行う。
□ 作業指揮者は、作業計画の策定、労働者の指導、使用資材の確認を行い、安全を確保する。
③ 労働者への教育と訓練
□ 足場の使用に関する危険性や安全対策について、労働者に十分な教育と訓練を提供する。
□ 特に、高所作業に関する特別教育を行い、労働者が適切な安全対策を理解し、実践できるようにする。
④ 適切な保護具の使用
□ 足場作業中に必要な保護具(ヘルメット、安全帯、手袋など)を労働者に支給し、その使用を徹底する。
□ 保護具の点検とメンテナンスも定期的に行う。
⑤ 労働環境の改善
□ 作業環境の温度、湿度、換気などを適切に管理し、労働者の健康を保護する。
□ 長時間の高所作業や悪天候時の作業を避けるため、適切な休憩時間や作業時間の管理を行う。
足場の法律:労働安全衛生法第28条
第28条(事前調査)
事業者は、労働者に、危険又は健康障害を生ずるおそれのある場所において作業を行わせるときは、当該場所について、あらかじめ、当該危険又は健康障害を防止するため必要な調査を行い、その結果に基づき、当該危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
労働安全衛生法第28条の解説
労働安全衛生法 第28条(事前調査)は、労働者が危険にさらされる可能性がある作業環境において、安全を確保するための事前調査を行うことを義務付けている規定です。これは、足場を利用する際にも非常に重要な条項です。以下に、第28条が足場利用においてどのように適用されるかを解説します。
労働安全衛生法第28条の適用
① 事前調査の目的
□ 足場を設置する場所やその周辺の環境に潜在的な危険がないかを確認するための調査を行うことが求められます。
□ この調査は、地盤の状態、足場の設置場所の高さや強度、天候条件、風の強さなど、足場の安全性に影響を与えるすべての要因を含むべきです。
② 調査内容
□ 足場を設置する場所の地盤が安定しているかどうかを確認します。地盤が不安定な場合は、補強が必要です。
□ 設置場所の周辺に足場の安定性に影響を与える要因(たとえば、強風が吹く場所や高低差がある場所)がないかを確認します。
□ 既存の建物や構造物との距離や関係を確認し、足場がこれらに干渉しないか、または安全に設置できるかを判断します。
③ 調査結果に基づく対策
□ 調査結果から、必要な対策を講じます。たとえば、地盤が不安定な場合は、地盤改良や補強工事を行う、風が強い場所では風対策を施す、作業員の墜落防止用具の使用を徹底するなどです。
□ また、足場の設計を見直し、より安全な配置や設計が必要かどうかを判断します。
④ 作業員への周知
□ 調査結果や講じた対策を作業員に周知徹底し、安全に作業できるように指導します。
□ 安全教育を通じて、調査内容とそれに基づく安全対策を理解させることが重要です。
⑤ 継続的な見直し
□ 工事の進行状況や環境の変化に応じて、定期的に調査を見直し、新たなリスクが発生した場合には追加の対策を講じます。
労働安全衛生法第28条の重要性
足場は、高所で作業を行うために使用されるため、作業員が転落するリスクや、足場そのものが崩れるリスクがあります。事前に適切な調査を行い、危険を予測し、未然に防ぐことは、作業員の安全を守るために不可欠です。労働安全衛生法 第28条は、こうしたリスクを軽減し、安全な作業環境を確保するための基本的な義務を定めたものです。足場を利用する際には、この条項を遵守し、事前に十分な調査と対策を行うことで、労働災害を防止し、労働者の安全を確保することが求められます。
足場の法律:労働安全衛生法第45条
第45条(作業環境測定等)
一定の作業場については、作業環境測定を行い、その結果に基づいて、作業環境を改善しなければならない。
足場の法律:労働安全衛生法第45条
第45条(作業環境測定等)
一定の作業場については、作業環境測定を行い、その結果に基づいて、作業環境を改善しなければならない。
労働安全衛生法第45条の解説
労働安全衛生法第45条は、特定の作業場において、作業環境が適切であることを確認し、その環境が労働者の安全と健康に影響を与えないようにするための測定と改善を義務付けています。この条文は、作業場の環境が労働者に与える影響を評価し、必要に応じて改善することを目的としています。
作業環境の測定 | 作業場の環境条件が、安全と健康に適しているか測定 |
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有害物質の測定 | 特定の作業場で派生する有害物質の濃度や量の測定 |
騒音や振動の測定 | 足場作業を含む一部の作業場で騒音や振動の測定 |
労働安全衛生法第45条の具体的な対策
① 作業環境測定の実施
□ 足場の設置や使用が行われる作業場で、環境が労働者にとって安全かつ健康的であるかを確認するために、定期的な作業環境測定を実施します。
② 測定結果に基づく改善
□ 作業環境測定の結果に基づき、労働者の安全と健康を確保するために必要な改善措置を講じます。例えば、換気の改善、温度や湿度の調整、適切な照明の設置などが挙げられます。
③ 有害物質の管理
□ 有害物質が作業場に存在する場合、その濃度を適切に管理し、労働者が曝露されないようにするための措置を講じます。また、必要に応じて防護具の着用を義務付けます。
④ 騒音や振動対策
□ 騒音や振動が問題となる場合には、音や振動を抑えるための機器の使用や、遮音対策を実施します。また、労働者に対して耳栓や防音ヘッドセットなどの保護具を支給します。
⑤ 教育と意識向上
□ 労働者に対して、作業環境測定の重要性や結果に基づく改善策について教育し、環境管理の意識を高めます。
労働安全衛生法第45条は、作業環境が労働者の安全と健康に適しているかを測定し、必要に応じて改善することを事業者に義務付けています。足場作業においても、作業環境の測定とその結果に基づく適切な改善を行うことで、労働者が安全に作業できる環境を確保することが求められます。
足場の法律:労働安全衛生法第59条
第59条(安全衛生教育)
1. 事業者は、労働者を新たに雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対して、安全または衛生のために必要な教育を行わなければならない。
2. 前項の安全または衛生のために必要な教育の内容及びその実施の方法は、厚生労働省令で定める。
労働安全衛生法第59条の解説
労働安全衛生法第59条は、事業者が労働者に対して適切な安全衛生教育を行う義務を定めた条項です。この条文の目的は、労働者が業務中に直面する可能性のある危険や健康リスクを理解し、それに対応するための知識やスキルを習得することです。特に、足場作業のように危険度が高い作業に従事する労働者に対しては、以下のような教育が求められます
新規雇用時 | 新たに雇用された労働者に、足場作業の危険性や安全対策の教育 |
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作業内容変更時 | 既存の労働者が新しい作業に従事する場合、作業に伴う危険性の教育 |
リフレッシュ教育 | 長期間従事者にも、定期的教育で最新の対策や手順の確認 |
労働安全衛生法第59条の具体的な対策
① 教育プログラムの策定
□ 足場作業に関するリスクや対策を網羅した教育プログラムを策定します。これには、足場の組立、解体、安全装置の使用方法などが含まれます。
② 新規雇用者向けの基礎教育
□ 新たに雇用された労働者には、足場作業の基礎的な安全対策を徹底的に教育します。これには、基本的な作業手順、安全装置の使い方、非常時の対応などが含まれます。
③ 作業内容変更時の追加教育
□ 作業内容が変更される場合、変更後の作業に特有のリスクや安全対策について、追加の教育を行います。例えば、より高所での作業や、新しい機材の使用方法などに関する教育です。
④ 教育の記録と評価
□ 教育の実施内容や受講者の理解度を記録し、定期的に評価します。これにより、教育の効果を確認し、必要に応じてプログラムを改善します。
⑤ 定期的なリフレッシュ教育
□ 長期間にわたって足場作業に従事している労働者に対して、定期的にリフレッシュ教育を実施し、最新の安全対策を再確認します。
⑥ 実技訓練の実施
□ 理論的な教育に加えて、実際の足場を使った実技訓練も行い、労働者が安全に作業を行うための技術を身につけられるようにします。
労働安全衛生法第59条は、事業者に対して労働者の安全と健康を守るための教育を提供する義務を課しています。特に足場作業においては、適切な教育と訓練が労働者の安全を確保し、事故のリスクを最小限に抑えるために不可欠です。事業者はこれらの教育対策を徹底することで、労働者が安全に作業を行える環境を整えることが求められます。
足場の法律:労働安全衛生規則 第518条
労働安全衛生規則 第518条(作業床の設置等)
第518条 事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
労働安全衛生規則 第518条の解説
安全帯の使用
高所作業を行う労働者は、安全帯(フルハーネス型など)を使用し、適切に固定する必要があります。安全帯は労働者が足場から誤って転落した場合に命を守る最終的な手段です。墜落の際、安全帯が適切に機能するよう、日常的に点検し、劣化や損傷がないか確認することが必要です。
手すりやネットの設置
足場の端や作業床の周囲には、手すりや安全ネットなどの墜落防止設備を設置することが求められます。手すりは通常、高さが1メートル以上で、上下に支柱が配置され、作業者がつかまりやすい構造であることが求められます。また、安全ネットは足場の下に設置され、万が一の墜落時に衝撃を吸収する役割を果たします。物理的な防御手段を設置することで、作業者が足場から外へ出るリスクを大幅に軽減します。
その他の墜落防止措置
具体的な安全措置に加え、事業者は現場の状況に応じてその他の必要な措置を講じることが求められます。例えば、足場の点検を定期的に行い、足場そのものの安全性の確保や、作業前に労働者に対して墜落防止に関する安全教育、環境の変化に応じて(風の強さや天候の変化など)、作業を中断するなどの判断などです。
労働安全衛生規則 第518条の適用例と実際の運用
足場作業の例
ある建設現場で、高さが10メートルの足場で作業を行うとします。この場合、足場の全周に手すりを設置し、作業者にはフルハーネス型の安全帯を装着させます。また、万が一に備え、足場の下には安全ネットを設置します。これにより、労働者が足場から転落するリスクを最小限に抑えます。
定期的な安全点検
足場や安全設備の状態を定期的に点検し、手すりがしっかり固定されているか、安全ネットが正しく設置されているか確認します。また、安全帯の使用方法についても、労働者に対して適切に指導し、誤った使用がないよう教育を徹底します。
特殊な作業環境への対応
特殊な作業環境(たとえば、風が強い場所や降雨の中での作業)では、追加の措置が必要となることがあります。作業を一時的に中断する、または追加の防護措置を講じるなどの対応が求められます。
労働安全衛生規則 第518条の重要性
第518条の規定は、労働者が高所で作業を行う際に、重大な墜落事故を防ぐための最低限の安全基準を提供しています。高所作業は、墜落事故による重大な傷害や死亡事故が発生しやすい作業です。そのため、事業者が適切な墜落防止措置を講じることは、労働者の命を守るために不可欠です。
足場の法律:労働安全衛生規則 第521条
第521条(安全帯等の取付設備等)
事業者は、高さが2メートル以上の箇所で作業を行なう場合にお いて、労働者に安全帯等を使用させるときは、安全帯等を安全に取り付ける ための設備等を設けなければならない。
労働安全衛生規則 第521条の具体的な内容
足場の強度の確保
足場材(パイプ、ボード、接続部品など)は、設計された強度を持つことが求められます。また使用する材料が適切な品質を保っているか、腐食や劣化がないかを事前に確認します。重量物を載せる場合は、その荷重に耐えられるかを検討し、必要に応じて補強を行います。
足場の安定性の確保
足場の設置場所が平坦で安定しているか確認します。不安定な地盤の場合は、地盤改良や支持面の補強が必要です。足場が高層の場合や風の強い場所で設置される場合は、アンカーや支え棒などを追加し、足場を地面や建物にしっかりと固定します。足場の高さに対して適切な幅を持つこと、足場の上部が傾かないようにすることが重要です。
荷重の分散
複数の作業者や材料が同じ部分に集中しないように配置します。荷重の分散を考慮した設計を行い、必要に応じて補強部材を追加します。足場の作業床には適切な幅があり、荷重が分散されるようにしなければなりません。
労働安全衛生規則 第521条の実際の運用と注意点
設置前の計画と設計
足場を設置する前に、詳細な設計図を作成し、足場が予想される最大荷重や環境条件に耐えられるよう計画します。特に、大規模な足場や高層の足場の場合、設計段階での計画が重要です。
設置後の安全確認
設置が完了したら、設計通りに組み立てられているか、各部材が適切に固定されているかを確認します。また、作業員にも足場の強度や安定性について周知し、過剰な荷重をかけないように指導します。
風や天候の影響
足場は、風や天候の変化による影響を受けやすいため、設置後の気象条件を考慮し、必要に応じて追加の補強を行います。強風が予想される場合は、作業を中止することも検討します。
使用中の点検
足場が使用される間、定期的に点検を行い、部材の劣化や緩みがないか確認します。特に長期間使用する場合は、点検頻度を上げることが推奨されます
労働安全衛生規則 第521条の重要性
労働安全衛生規則 第521条は、足場の安全性を確保するための基本的な基準を提供しています。足場は高所での作業を支える重要な設備であり、強度や安定性が欠如すると、作業者の墜落や足場の倒壊といった重大な事故が発生するリスクがあります。この規定を遵守することで、労働災害を未然に防ぎ、作業者の安全を守ることができます。
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